学問・資格

2008年2月16日 (土)

■神社 20080217

狛犬の話

1.<こま>と<から>

こまいぬ。ふつうは〈狛犬〉と書く。

朝鮮の古代の国名である高麗によるのだという。

似た言い方に唐獅子がある。

わが国にはもとからシシと呼ばれる動物がいた。

カノシシつまり鹿、そしてイノシシ(猪)。

そこで外国のシシである中国の獅子を、カラシシと呼んだようだ

(唐は中国の古い呼び名)。

カノシシつまり鹿は、水の信仰との関わるらしい。

春日大社に神使の鹿がいるのも祭神に、水の信仰にゆかりある枚岡神社から

お迎えした天児屋根命・比売神をお祀りするためであろうか。

このお社は藤原の氏神だが、同じ家筋の中臣氏の伝えた中臣寿詞にも、

皇位継承儀礼の水の伝えが見える。

猪にも神の姿は見え隠れする。古事記によると、倭建命は東征ののち伊服山の白猪

(実は山の神)に困惑させられたという。

(雄略天皇が葛城山で遭遇なさった猪も、山の神であったかもしれない。)

現在のイラクに残る古代の神殿前には、一対の獅子が置かれている。

この獅子は王宮を守るのだ。四千年も前にさかのぼるものだという。

この獅子はシルクロードを通って中国に入った。

ここでも皇帝の宮殿を守っている。獅子はライオンの中国風の呼び名だ。

彼らにとっては遠いかなたからきた霊力ある動物であったのに違いない。

中国にはおびただしいしい数の霊獣が空想されていた。

獅子などはさしずめその新入りといったところだ。こうしてライオンは獅子とも

狛犬とも呼ばれ、ついに朝鮮を経由してわが国に渡来した。

                                          金子善光

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2008年2月14日 (木)

■祝詞 20080215

二 畳語
 ところで現代の祝詞では「恐(かしこ)み恐(かしこ)み」という慣用句がその冒頭と末尾とに用いられることはよく知られる。
動詞「恐(かしこ)む」の連用形を重ねたもので畳語(じょうご)と呼ぶ。日本語における強調法の一つで、類例には、
o宮進め進め、宮勤め勤め(大殿祭)
o神集へ集へ給ひ、神議り議り(六月晦大祓・遷却祟神)
o神問はし問はし給ひ、神掃ひ掃ひ給ひ(六月晦大祓)
o神壤ひ壤ひ給ひ、神和し和し給ひ(遷却祟神)
o弥をちに御をち坐し(出雲国造神賀詞)
などがある(原文で「に」が表記されるのは出雲国造神賀詞のみで、他は補って読むのが通例)。
古語一般では「いといと」「ゆめゆめ」「ほとほと」といった例もあり、「ゆめゆめ」「ほとほと」などは現代語でも用いている。
このうち「恐み恐み」は古典である『延喜式』の祝詞では出雲(いずもの)国造(くにのみやつこ)(のかむ) 賀詞(よごと)にしか見えない。この神賀詞はヨゴトと呼ばれる通り、出雲の国造が就任後に都に上り、 天皇に拝謁して、その長寿をことほぐことばである。
 他の祝詞には用いなかったのは類似の言い方がいくつもあったためであろう。
たとえば『延喜式』の伊勢大神宮の祝詞には「太玉串に隠れ侍りて」(太い玉串に隠れ申して)という表現がある。
また祈年祭祝詞には「うじもの頸(うな)ね突き抜きて」(鵜のように首を突き出し=恭しく拝礼し)と見える。
共に神前にあって「丁重に振舞う」様子を言ったものである。
 上代にあっては万葉集が序詞(じょことば)や枕詞(まくらことば)を生み出したのと同様に、 祝詞においても次々に慣用句を紡ぎ出したのである(因みに『日本後紀』以降の宣命では「恐み恐み」は 慣用化している。また時代が下ると「かしこむ」が用いられなくなり「おそれみおそれみ」と読まれる場合が多い)。   
                                                       金子善光

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■祝詞 20080214

祝詞は難しい感じがしますが解ってみると納得出来ます。では一緒に〈祝詞の森〉へ分け入ってみましょう。

祝詞の慣用句

・対句  ・畳語  ・類語重層 などがある。今回は~

一 対句 

祝詞の修辞で最も特徴的なのは対句であろう。これは漢詩の場合の対語のように名詞によるもののほか、あるいは形容詞・動詞によったり、文字通り「句」によったりすることもある。まず名詞・形容詞・動詞の例を見てみよう。 

o大野原に生ふる物は甘菜・辛菜(祈年祭) 

o奥(おき)つ藻(も)菜(は)・辺(へ)つ藻菜(同) 

o和(にご)稲(しね)・荒(あら)稲(しね)に(広瀬大忌祭・龍田風神祭・鎮火祭) 

o朝(あさ)御食(みけ)・夕(ゆふ)御食(みけ)(同)・朝(あさ)御膳(みけ)・夕(ゆふ)御膳(みけ)(龍田風神祭)

o朝日の日向ふ処・夕日の日隠るる処(同) 

o本苅(もとか)り断(た)ち・末苅(すゑか)り切り(六月晦大祓) 

o高山(たかやま)・短山(ひきやま)の末(同)  

o青海原に住む物は鰭(はた)の広き物・鰭の狭(さ)き物(祈年祭) 

o毛の和(にご)き物・毛の荒き物(同)

o大峡(おほかひ)・小峡(をかひ)に立てる木(大殿祭)

o天翔(あまがけ)り・国翔(くにがけ)り(出雲国造神賀詞)o神の礼代(ゐやじろ)・臣(おみ)の礼代(同)

o彼方(かなた)の石川岸・此方(こなた)の石川岸(同)それぞれ神饌として捧げる野菜・魚・海草・動物を総称したり、朝・夕、本・末、高・短(=低)、広し・狭(さ)し、和し・荒し、大・小、天・国、神・臣、彼方・此方、のように対となる事柄を掲げて、印象を強めようとしている。これらは単純な例であるが、より複合的に対句を用いる場合もある。

o朝(あした)は御門(みかど)開(ひら)き奉(まつ)り、夕(ゆふべ)は御門閉(た)て奉りて(祈年祭・月次祭) 

o下より往かば下を守り、上より往かば上を守り(同)・上より往かば上を守り下より往かば下を守り(御門祭)

o夜の守り・日の守りに守り奉(まつ)る(祈年祭・月次祭・御門祭) 

o遠き山・近き山に大木(おほき)・小木(をぎ)を本・末打ち切り(祈年祭・月次祭) 

o参(まゐ)入(い)り・罷(まか)出(づ)る人(大殿祭・御門祭)ここでは朝・夕、開く・閉(た)つ、下・上(上・下)、夜・日(=昼)、遠し・近し、大・小、本・末、参る+入(い)る・罷る+出(い)づ、のように対となる語を用いると同時に、全体が対句となるように工夫されている。

                                        金子善光

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